2012-01-01から1年間の記事一覧

現代存在論についての徒然(トロープと基体説の巻)

「『現代存在論入門』のためのスケッチ(第三部)」はお勧めできる論文ですが… 倉田剛の「現代存在論入門」の草稿は既に第二部までは興味深く読ませてもらっていたけれど、第三部がネットで手に入るのをつい最近知って早速読んでみた。第三部の話題はトロープ…

ソータル(sortal)について自力で考えてみる(正確な定義は自分で調べましょう!)

ネット上でソータル(sortal)という用語を見かけることが何度かあって、自分はこれについて何も知らなかったのだが、書かれていることから何となく普遍に該当しなくて分類できるもの程度に認識していた。つい最近調べ物をしていたらスタンフォード哲学百科の…

非概念的内容から概念的内容を合理的に再構成してみる試み(ただしまだ途上)

マクダウェルは感覚データと非概念的内容を安易に同一視しているが、これ以外にもマクダウェルは都合のいい理解をしている所がある。例えばセラーズの有名な論文「経験論と心の哲学」の最終章の知覚の議論を思いっきり無視したご都合主義が伺える。ローティ…

結論より過程が大事、だから熟議的民主主義の勧め

私は近年の日本にすっかり嫌気が差している。世間にも同じような気持ちの人は多くいるようだが、その人たちのほとんどは日本の政治家が悪いからだと思っている節があるが、自分はそう思わない。私は、問題は国家が何とかしてくれる(してくれるべきだ)と思…

感覚データと非概念的内容は同じなのか問題(または想像力は知覚と思考を結ぶのか?)

マクダウェルの哲学説に関しては前々から疑問に思っていたことがあった。私自身は感覚データと非概念的内容って違うんじゃないかと思っていたのだが、翻訳された「心と世界」を読んでもその疑問はあまり直接には解消されなかった。理由は簡単で「心と世界」…

翻訳されたマクダウェル「心と世界」の解説について(または二つの異なるrealism)

マクダウェルの主著である「心と世界」の日本語訳がやっと出版され、翻訳の出来も良好で喜ばしい限りである。この翻訳には神崎繁による力のこもった解説も付いていてとても参考になるのだが、残念なことに突っ込みどころのあるところが所々見られる。その中…