私が主流の進化心理学に期待しない理由

現在の主流の進化心理学社会生物学の系譜にある。テュービー&コスミデスによって創始され、ピンカーによって宣伝された分野だ。しかし、面白いとは思うしそれなりの成果もあることは認めるが、私にはあまり可能性は感じられない。理由は簡単だ、古生物学者S.J.グールドの言うとおり「なぜなに物語」の域を超えることがないからだ。ようするに、「なぜこうした生物の行動や形態があるのか」という疑問に対して、機能的に有用だったからというような合理的説明を後付けしているという印象がぬぐいきれない。出すべきは淘汰されなかった理由に過ぎないのに…。それに、動物に関しては当てはまる説明でも、人間にも当てはまるかというとこれがかなり怪しい。ある程度納得がいくのは性淘汰を用いた説明ぐらいのものだ。これならサイモン・バロン=コーエン自閉症研究ともつながる。でもあとはいまいち。文化相対主義を拒否しようとして極端に正反対に行った感じがする。というわけで、私としては今まで怠ってた生態学的アプローチの勉強でもし直すしかないかな、と思っている。