放送大学で佐藤郁哉の講義を見る

昨日(2005/12/5)テレビのチャンネルを適当に合わせてたら放送大学でどっかのおじさんが講義してた。何となく見てたら暴走族の話だった。そういえばそういう本を昔読んだことあるなと思って見てたら、内容からどうも佐藤郁哉社会学者)臭いと思ってたら、本当にそうだったのにショックだった。なんか老けてたような。
実は昔、生の佐藤郁哉を見たことがある。特別講師として招かれた院生向けの特別講義に紛れ込んだのだ。1990年代後半の学生時代だ。当時はそれこそ彼の著書「フィールドワーク」を愛読するファンだった(ちなみに、佐藤郁哉宮台真司も私は教育社会学経由で知った)。彼の異様にエネルギッシュな態度に圧倒された(うすうす感じてたが、私にはフィールドワークは合わないとも実感した)。それに比べると現在の彼はすっかり落ち着いたおじさんになってしまっていた。その講義も後半しか見れなかったが、なんか理路整然としてた。昔読んだ暴走族研究とは印象が違う。それもまたショックだった。
私がテレビで見た範囲では、暴走族のマスコミ報道--逸脱の退屈論--暴走族からの離脱、と講義が進んでいた。よく整理されていて分かりやすい(放送大学も当たり外れがある)。でも、昔読んだ本の印象と違う。あったはずの眩暈論とか物語論がない。眩暈論は見れなかった前半にあったかもしれないが、物語論は後半のはずだ。暴走族のOBとかが出てきて、あのころは青春だったと物語化されるとか、そういう話があったはずだ。なかった。ショックだ。「社会心理学特講」だから?でも。いまや心理学の語り研究もあるんだからしてもおかしくない。でも、なんか理路整然と社会的な因果関係で説明していた。それじゃおもしろいはずのところがなくなってしまうんじゃないのか…。
講義に参加してた院生に質問されて、昔の佐藤郁哉宮台真司について答えていたのを思い出す。宮台真司がメディアで大活躍中のころだ。佐藤郁哉は、宮台真司は博士論文はよかったけどあとは…、と口を濁していた気がする。そう言われてもしょうがないと思う。
以下の文献は、佐藤郁哉が日本語で出版した二冊の暴走族研究のうちの一つだ。私が大学図書館から借りて読んだのはもう一つの方だったはず。昔のことなので記憶があいまいだ。

暴走族のエスノグラフィー―モードの叛乱と文化の呪縛

暴走族のエスノグラフィー―モードの叛乱と文化の呪縛

下のこれは私がカバーがボロボロになるまで読んだ本です。別の新しい方の本は専門化向けですが、これは一般向けです。フィールドワークする気なくても、誰が読んでも役立つ。さすがに後半の道具としてのメディアの話は古びたけど、それ以外は今でも面白い。絶対のお薦め。