新たな認知科学年表を作成してます

今現在、以前作った認知科学年表(http://d.hatena.ne.jp/deepbluedragon/20050729/p1)の増補版を英語原典版と共に作成している。主に参照しているのはThe Cognitive Science Millennium Project(http://www.cogsci.umn.edu/OLD/calendar/past_events/millennium/home.html)だが、上位にある文献のまだ多くが分からないので困っている。このMillennium Projectは動物研究が全くないのでそれは適当に入れることにした。ロボット研究も有名なのは入れることにしました。でも、他にも分からないのがいっぱい。で、もしこれ入れたら?みたいな情報があったら教えてください(内容の紹介もできれば、参考サイトの紹介もOK、一方的なコメントでいいです。私のコメントに応答する必要なし)。ちなみに、最終的にどれを選ぶかは私自身が決めます。あれこれ選ぶと切りがない。
一応言っておくと、年表の年代を1996年以降まで更新する気は今のところはない。なに入れればいいの?総括期と称してピンカー「心の仕組み」みたいなのでも入れておく?なんか嫌だぞ(研究にとって重要?)まぁ、年表としてはあれできれいだし、この後の展開は私にはいまいち見えないし(進化心理学ブーム程度じゃねぇ*1)。これも情報があればどうぞ。

あらためて年表に入れる候補

1925 Koehler, W. The Mentality of Apes サルの洞察で有名
1959 Lettvin, J.Y., Maturana, H.R., McCulloch, W.S., & Pitts, W.H. What the Frog's Eye Tells the Frog's Brain 有名。マトュラーナの名前もあるからねぇ。
1962 Hubel, D.H. and Wiesel, T.N. Receptive fields, binocular interraction, and functional architecture in the cat's visual cortex 有名な猫の脳での実験、いわゆる特徴検出器*2
1964 Von Neumann, J., & Morgenstern, O. Theory of games and economic behavior ゲーム理論はないとまずいでしょう。前になぜ入れなかったかナゾ
1968 Sperry, R. W. Hemisphere deconnnection and unity in conscious awareness いわゆる分離脳実験
1969 McCarthy,J.,and Hayes,P.J. Some Philosophical Problems from the Standardpoint of Artificial intelligence フレーム問題で有名らしい。読んでないから分かりません。原著論文はこちらhttp://www-formal.stanford.edu/jmc/mcchay69.html
1974 Baddeley, A.D., and Hitch, A.D. Working memory ワーキングメモリ(作業記憶)で有名。一応注意しておくと短期記憶とは別です。参考論文としてはこちらをどうぞ(もちろん英語) Alan Baddeley"The fractionation of working memory" http://www.pnas.org/cgi/content/full/93/24/13468
1974 Tversky, A., & Kahneman, D. Judgments under uncertainty: Heuristics and biases 人の判断はあいまいで適当、ヒューリスティクス研究
1977 Schank, R. C. and Abelson, R. P.Scripts, plans, goals, and understanding スクリプト理論で有名。今では人工知能好きでも知ってるのやら?
1978 Premack,d and Woodruff,G. Does the chimpanzee have a theory of mind? サルには他人の心は分かるかな、という話
1987 Rodney A. Brooks. Intelligence without representation ロボットには表象などいらない。とりあえず動かせ。google:Brooks Intelligence without representationで原著論文が出ます。ロボット研究ならこちらが参考になるらしいISBN:4817302194、私は読んでないのに変だが一応。
1987 Valentino Braitenberg. Vehicles:Experiments in Synthetic Psychology ロボットの進化論的な設計
1988 Donald A. Norman. The Design of Everyday Things(this title from 1990) いわずと知れた、ノーマンのデザインシリーズ第一作。再版でタイトル変わったらしい。
1994 Antonio Damasio. Descartes's error ソマティックマーカー仮説で有名

準候補

1952 Brunswik, E. The Conceptual Framework of Psychology 例のMillennium Projectでかなり上位。よく分からない。
1969 Gibson, E.J. Principles of Perceptual Learning and Development 視覚的断崖の論文との交換もありかなと
1987 George Lakoff. Women, Fire, and Dangerous Things 認知言語学の重要文献であるとは分かっている。でも「レトリックと人生」がすでに年表にあるからなぁ。まぁ、そもそも認知言語学はあまりよく知らない。ネット上だと、こちらにいろいろ資料があります http://gamp.c.u-tokyo.ac.jp/~tohori/guide.html日本語なのでご安心を
1988 Andrew Whiten and Richird Byrne. Machiavellian Intelligence 最近知った。他人を騙したり他人と協力したりして生き残れるようにマキャベリ的知性が進化したらしい。
1992 Leda Cosmides and John Tooby. The Adapted Mind:Evolitionary psychology and the Generation of Culture 現在主流の進化心理学の重要文献、らしい
他にも名前だけは挙がっている有名研究者はいる。だが、どの論文かとかそもそも載せるべきかとかよく分からない。例:Francis Crick ,Patricia Smith Churchland ,Michael I. Posner、,Zenon W. Pylyshyn , V.S.Ramachandran 他いろいろ。あぁ、文献項目を増やしすぎないように注意しないとなぁ。こうして見ると、自分は認知科学オタクじゃねえかよ、と突っ込みたくもなる。しかし、最近は認知科学書をほとんど読んでない。去年は大御所の翻訳が目白押しだった(プレマック、リベット、ラマチャンドラン、他にもいろいろ)。新刊を追う趣味のない私でも気になってしまう。でも、何となくまとめ的な著作ばかりって気が…。あと、ネット上の原著論文は全部調べたわけではないので、もしかしたらネット上での公開が他にあるかも知れないです。自分で調べてくれ。

*1:この後に考えて、ディーコンやトマセロなら入れてもいいかなと思った、どちらもまだ読んでないのだが。ディ−コンは既に翻訳あり「ヒトはいかにして人となったか」ISBN:4788506718ゾンじゃ賛否両論だが。トマセロはこれから出るはず「心とことばの起源を探る」http://www.7andy.jp/books/detail?accd=R0148528アマゾンはまだデータないと思うが一応ISBN:4326199407。でも21世紀には届かない。

*2:Millennium Projectサイトにあるのは1977年のFerrier lectureだが、年表の性質を考えるとこれだとまずいかなと。多分こっちの論文の方がいいと思う、たぶん…