ピンカーの認知科学観

後で気になって、ピンカーの進化心理学擁護の本「人間の本性を考える」isbn:4140910100くってみた。あれは、前半の認知科学話は悪くないけど、後半はちょっとなぁと読んだ当時の感想として思った。改めて見ると、ピンカーの認知科学観ってけっこう偏ってる。そんなに認知科学進化心理学寄りの話ばかりではなかったはず。認知革命の当事者で文化心理学を立ち上げてたブルーナーもいるし、生成文法に対立して現われた認知言語学も無視されてる気がする。だいたいコネクショニズムを批判することでピンカーの認知科学観は成り立っているのだから無茶苦茶だ*1。それは「あなたの」認知科学観でしょ!ピンカーは研究者としては一級なんだけどねぇ、ちょっとおしゃべりが過ぎる(もちろんそれを好む人は多くいるが)。ちなみに、ピンカーの想定する敵は極端な気がしてならない。アメリカって今でもそんなんなの?ただし言っておくが、ピンカーの本がお薦めできることには変わりがない。

  • 参照リンク

ピンカー『人間の本性を考える』: PDPモデルはブランク・スレート説か? http://d.hatena.ne.jp/rna/20050509/p4

*1:ちなみに、初期の進化心理学の問題が生得的なモジュールであったことを思うと、認知科学にはモジュール-コネクショニズムの対立があると言える。そういえば、脳の機能説にも局所論と全体論の対立があるし、こうした対立関係は今でも別に解決はしていないのだから、この対立はけっこう根深い問題かもしれない