べクテル「認知神経科学における証拠の認識論」より結論

William Bechtel"The Epistemology of Evidence in Cognitive Neuroscience"(PDF)
http://mechanism.ucsd.edu/~bill/epist.evidence.bechtel.july2004.pdf
注:翻訳文の()内は訳者による挿入です

結論
科学における証拠はたいてい論争の焦点になる。他の科学と同様に認知神経科学でもこれは正しい。脳の認知的過程に関連した証拠の三つの根本的源─脳損傷研究、個別神経細胞記録、神経画像研究─の発展を調べてきた。それぞれの場合において、進んだ成果は(実験室での)研究における現象への操作を伴っており、研究者はその成果が適切な方法で認知的メカニズムにおける構成的働きを反映しているかどうかに関してその成果を評価しなければならない。さもなければ、(実験による)介入の仕方に由来する人工性がその成果を生み出すとされたときだけ、批判者がその成果を破棄する。そのような処置は典型的にどのように技術が成果を生み出すかへの綿密な理解に頼っているわけではなく、産出された成果の性質に頼っている。認知神経科学のその技術に由来する成果が人工的であるかどうかを定めるために、どのように通例は研究者が証拠の三つの異なる特徴に訴えるかを示してきた。第一に、信用して手に入れられる成果に明確なパターンがあるかどうかである。第二に、その成果が他の技術によって得られた別の成果と矛盾していないかどうかである。第三に、成果が首尾一貫した理論的説明に合っているかどうかである。
William Bechtel"The Epistemology of Evidence in Cognitive Neuroscience"より翻訳