「言語における並び構造を学習する一般化の原則」序論より

"Principles of Generalization for Learning Sequential Structure in Language"Michael C. Frank, Denise Ichinco, and Joshua B. Tenenbaum(PDF)から翻訳

屈折形態の獲得*1に関わる表象と学習のメカニズムは言語獲得の文献で激しく争われている。二つの基本的立場が提出されている。類推的学習だけの過程(Rumelhart & McClelland 1986)と抽象的法則と連合的過程をともに含んだ二重システム(Pinker 1991)。この論争は心的表象の形式を巡る広い議論の現れであるが、いくつかの独立した計算的問題と区別がつきにくくなっている。
類推的または連合的な理論*2の支持者はこうした提案の節約ぶりと神経的もっともらしさを強調する。対して、二重ルート説は類推説の表象的または表現的限界に焦点を当てている。この論争には二つの別問題がある。(1)形態学習のためのルート数(2)そのルートのアルゴリズム形式と表現力。例えば、Albright & Hayes (2003)では類推説と法則説を比較して、どちらのモデルも表象のためには一つのルートしかないにもかかわらず、法則に基づいたモデルの持つ大きな表現性がしっかりした一般化を考慮しており、新規語屈折課題の人間実験データにより合致している、としている。

この論文ではベイズ確率(条件付確率)を用いた法則一般化モデルを評価していますが、そこは面倒なので略。課題をさせると人間と似てるけど自然言語で見るとまあまあってところです。一応注意しておきますが、私が紹介してることと出来のいい論文かどうかは別問題です(私は計算モデルに詳しくないので判断できない)。Michael FrankがCognitive Science conferenceで賞を採ったのは発表したもう一つの論文のせいかもしれませんし。

*1:英語の動詞に-edをつけて過去形にするのがその代表

*2:つまりRumelhartらの説のこと