お蔵入り寸前のお気に入りミステリーのリスト
注:ブログでお気に入りミステリーのリストを作る!と公言してからこれを書き始めたのだが、リストの個々の作品へのコメントを書かなくちゃ〜と思っているうちに時間が過ぎてしまい、お蔵入りになっていた記事。もったいないのでこのまま出します。
21世紀に入ってから刊行された日本のミステリーから個人的なお気に入りをリストにしようといういう記事です。
最初から正直なところを吐露してしまうと、だいたいの面白いミステリーなんて有名なランキング企画で上位に入っており、実際に私のリストもそのランキング入りと重なるところも多く、こんな記事は私の自己満足に過ぎないです。それでもあえてリストを作ろうと思ったきっかけのひとつは、ネットでミステリーのベストを検索してそのリストの選択が似たり寄ったりだったことにがっかりしたせいもある。そもそも傑作なんて誰が選んでも似るものだという意見もありうるが、問題はそこではない。それらのミステリー選で共通して西村京太郎「殺しの双曲線」がお勧めされていた。実際に西村京太郎を舐めていた私はそのお勧めに従ってその作品を読んだのだが、その感想はがっかりの一言だった。こんなセンスのないお勧めミステリー選が平気で検索上位に挙がるぐらいなら、私が新たなリストを作ることに少しぐらいの意義はあるかもしれないと感じた。
今述べたのは消極的な理由だが、それ以前に少し前から久しぶりに日本のミステリーをまとめて読み始めて、21世紀に入ってからの日本のミステリーのレベルの高さに驚いたのもリストを作ろうと思った理由でもある。学生時代の辺りに笠井潔の影響でミステリーをある程度まとめて読んでいた時期はあったが、私の趣味の常で一定以上夢中になった後にパターンが読めてくると飽きて冷めてしまった。
しかし、比較的最近になって突然日本のミステリーを読み始めて、その質の高さと自分の文学趣味との一致に驚いてしまった。リストに挙げた中にもあるが、テレビドラマが面白かったので原作を読もうと思って雫井脩介をいくつか読み始めた。その中でも処女作「栄光一途」の衝撃はものすごかったが、その処女作の手法はその後捨てられてしまい、それにかなう作品はないと分かってしまった。だが、日本のミステリーが私のような(仕掛けのある)モダニズム小説好きには鉱脈だと知りワクワクしてしまった。だがもちろんどれがそのような仕掛けのある作品かは分からないので、普通に評判のいい作家の本を次々と読むようになった。基本的に仕掛けがありうる作品は本格ミステリーなのだが、本格ものは元から好きなのでいろいろな作品を読んでしまい、その結果として発見した作品が次のリストだ(おそらく未完)。
個人的に好みな文学的な仕掛けのある本格ミステリー(順不同)
初野晴「漆黒の王子」ISBN:9784043943159
「カマラとアマラの丘」ISBN:9784062175272→「向こう側の遊園」ISBN:9784062778510
雫井脩介「栄光一途」ISBN:9784344402218
島田荘司「ネジ式ザゼツキー」ISBN:9784062755320
北山猛邦「オルゴーリェンヌ」ISBN:9784488017798
米澤穂信「折れた竜骨」ISBN:9784488451073 ISBN:9784488451080
綾辻行人「Another」ISBN:9784041000014 ISBN:9784041000007
七河迦南「アルバトロスは羽ばたかない」ISBN:9784488024581
市川憂人「ジェリーフィッシュは凍らない」ISBN:9784488025519
法月綸太郎「生首に聞いてみろ」isbn:9784043803026
ちなみに、リストの順番は評価や好みとは全く関係ありません(ただの思いついた順)。あえて言えば初野晴が個人的なお気入り作家なことぐらいかな。ちなみに、初野晴の最高傑作はやはりハルチカシリーズでシリーズの最初から三冊を順に読むのが絶対にお勧めだが、仕掛けの点でそれは一応リストから外した。仕掛けのある面白い本格ミステリーは(ジャンルの性質上)他にももちろんあるのだが、切りがないのでもう考えたくない。