認知科学の倫理的利用?
個人的な諸事情で最近はブログを書くにはなれないのだが、せめてリンクぐらいはしてみる。すでに出版されている本だが、ネットで解説文を見つけたのでつないでおきます。というか、いまさらこれを見つけたのだから自分の怠慢もいいところだな。
スタノビッチ「心は遺伝子の論理で決まるのか」解説
認知科学は純粋な実証的な成果としては中立的なので、それ自体はどんなことにも使える。脳科学ブームや進化心理学ブームの科学的に怪しいところを除いても、実はこの問題は残る。最近は行動経済学に関してきな臭さを感じることもある(金融危機で投資ブームは去ったはずでは…)。認知科学的な成果は認識や行動の癖を教えてはくれるが、科学である限りあくまでそれだけである。その成果をどのように用いるかという問題は全くの別問題である。また、こういう癖があるという教訓を知ったからといってその誤りを防げるわけではないことは(二重過程説だけでなく)学習の転移が難しいことからも導けうる。自分自身の認識問題は二の次にして他人を騙す(惑わす)ことばかりに目が向けられて認知科学的な成果が見られるとしたら、少なくとも私はそんな人ばかりの社会に住みたいとは思わない。