2008-01-01から1年間の記事一覧

このブログでハイデガーについて書くとろくなことがない

はい、表題の通りです。私がここでハイデガーについて何か書くとろくなことがありません。私がハイデガーを擁護しようが批判しようがどっちにせよ起きたのはろくでもないことばかりです。はっきり言ってこう思った、もうハイデガーのことなんか金輪際かくも…

DDAさんが認知科学のウィキを立ち上げました

こちらです→認知科学ウィキ_こぐまにあ 以前ここでブログ記事を紹介したことのあるDDAさんが認知科学のウィキ(上記リンク)を立ち上げました。 まだできたばかりで記事数は少ないですが、よかったら訪ねてみてください。そして、もし気が向きましたら記事の…

脳画像で裁判するの巻

この前(12/3深夜)テレビで見たCBSドキュメント(アメリカのドキュメンタリー番組の日本語版)は面白かった。殺人の容疑者スタンコが裁判にかけられるのだが、そこで被告の責任能力が問われる場面になる。そこで弁護側が被告の脳画像を用いて被告の責任能力…

認知科学のハードな話(ただし人生にとって重要という意味で)

どうも、最近パソコン内のデータが壊れてしまって私的には呆然としている蒼龍です。 ここのところは認知科学の話題にはご無沙汰なのですが、何となく見たポ−ル・サガードのサイトにあった今年の講義内容Seminar in Cognitive Science にびっくり。Textbook: …

奇抜な見解で話題になる分析哲学者たち

どうもクワイン以後の分析哲学には、奇妙な結論を引き出して話題になる哲学者が時々見受けられる。彼らは奇妙な結論の裏側に重要な哲学的問題を隠し持っているのだが、奇妙な結論ばかりが有名になって哲学の専門家の間に話題を提供することにはなるのだけれ…

ハイデガーにおける論理学と形而上学

理性を解明し規定することが正当に且つ必然的に《論理学》と呼ばれるかぎり、西洋的な《形而上学》は《論理学》であるとも言える。存在者たるかぎりの存在者の本質は、思惟の視圏のなかで決定されるのである。 ハイデガー「ニーチェ ヨーロッパのニヒリズム…

現代の普遍論争の概念的枠組みを考える

基本的にネット上で手に入る学術的な資料ばかりから判断してるので注意 現代の普遍論争について調べてみて困ったことは、学者によって概論的な見解があまりに異なることだ。心の哲学における心身問題の扱いが教科書的に比較的整理されているのに比べると、形…

トロープと普遍概念

ある分析哲学の本の訳者解説を眺めていたらおかしな言葉の使い方を見かけた。論理記号付きの引用は面倒なので、普通の言葉に直してみます。 xが藍トロープを持っているならば、そのxすべては青トロープを持つ これを認めてしまったら、トロープ概念を普遍…

科学を知るための数段階

あくまで単なるアイデアです 1.情報レベル(または素人レベル) いわゆる科学に対して素人の段階。日本のジャーナリズムも下手するとこのレベルが多い。理科教育を受けたかさえ怪しい人から、科学に関心はあっても理解する努力までする気のない人まで。科学…

おいおい、この項目って公開されてからまだ間もないぞ

Natural Kinds (Stanford Encyclopedia of Philosophy)http://plato.stanford.edu/entries/natural-kinds/ 調べ物をしてたらこれを見つけて、公開日の近さに驚いたってだけです。 ちなみに、自分だったらこれとは説明順を変えるだろう。始めに実在論を説明す…

C.S.パースにとってのスコラ哲学と科学的精神

この点に関して、論理学や科学基礎論の分野で先駆者的な業績をあげたC・S・パース(1839〜1914)の観察は、ひとの意表を突くものであると同時に、極めて適切である。ドゥンス・スコートゥスの著作に親しみ、みずからの哲学的立場を「スコラ的実念論」と称…

分析哲学が分かる人だけにしかお勧めしない記事です

いきなり追記:内容に自信がなくて書いてから公開をしばらくためらっていたのですが、思い切って出しちゃいます。適当に割り引いて読んでください さらに追記:勘違いと思えるところを一部削除(横棒の入った部分)しました(08/10/11) 注 こちらのブログのコ…

神経経済学についてネットで調べてみた

神経経済学に関しては、入門書が最近翻訳されたようなのでそれを読んだ方がいいとは思うのですが(日経新聞の書評は読んだが)、いろいろと億劫に感じてきているのでいつ読むか分からない。でも、どうでもいい単なるおしゃべりぐらいは書いてみたくなる。 ネ…

お知らせ

誤解を与えると分かったので、右袖にある一行プロフィールを少し直しました。

方法論は各分野に内在、理論的には分野を超えて交流可能

認知科学(つまり認知的研究一般)が単なる一時的な流行を超えて今でも受け入れられている最大の理由は、具体的な研究の方法論は各専門分野に任せることによって研究分野の自律性を保ち、それでいて理論的には分野を超えてのコミュニケーションを可能にして…

ハイエクはグーグル的秩序の擁護者か?

ハイエクは有名な経済学者かつ社会思想家であり、全体主義への批判や自由主義の擁護のために自生的秩序なる概念を持ち出した*1。自生的秩序とは人々によって自然に作り出される秩序であり、ハイエクは分散した知識の考え方によって自生的秩序の発生を説明し…

「言語における並び構造を学習する一般化の原則」序論より

"Principles of Generalization for Learning Sequential Structure in Language"Michael C. Frank, Denise Ichinco, and Joshua B. Tenenbaum(PDF)から翻訳 屈折形態の獲得*1に関わる表象と学習のメカニズムは言語獲得の文献で激しく争われている。二つの基…

どうでもいい評論風の書き散らし

勝手にいろいろと前提にして説明を省いて書いているので、訳が分からなくともあなたのせいではありません 日本で全体性を目指す教養的試みがあまりに見られないのはまずい…?? 歴史の不在と中間項の不在 現在の日本の論議でよく見られるように思える特徴は…

宮台真司のブログ記事の関連リンク

環境税 早期実現を提言 足立治郎氏に聞くhttp://www.chugoku-np.co.jp/kikaku/interview/In05010901.html グーグルの検索順位が少し低めで分かりにくいので載せておきます。宮台ブログの記事だけだと誤解しやすいので読むのをお薦めします。それからアマゾン…

日本の保守主義理解を考察する

日本の保守主義理解は欧米と違っていておかしい。欧米の保守主義は、皆でいろいろとやりとりしながら地道に社会を改良していきましょう、と言う含意があるのに日本ではそれがあまり見られない。ロマン主義と一緒にされたり、大衆社会批判と勘違いされたり、…

本家アマゾンから認知科学どうでもいいリンク

このブログもいい加減に数年続けていて、私には既に認知科学について書きたいこともなくなってきた。基礎知識を改めてさらうと言う手もあるが、そういう面倒なのはやる気が出ない。で、どうでもいいリンクでも作ってみました。 Amazon.com: Products tagged …

そういえば今年はCognitive Science Societyができて30周年記念らしい

最近は書きたいこともないし、書き溜めた記事を出す気にもなれない(自分で書いた記事なのに意義が感じられなくて気が乗らない)。 もうすぐCognitive Science Society Societyの学会があるけど、今年はCognitive Science Societyができて30周年の記念らしい…

認知科学マニアならもっと早く思い出しとけよ

認知科学の有名な賞というとラメルハート賞やジャン・ニコ賞がある。ラメルハート賞が科学的な傾向の強い賞なのに対して、ジャン・ニコ賞は哲学的な傾向の強い賞である。最近になってやっと、今年のジャン・ニコ賞って誰?と思い出して調べてみた(→http://w…

べクテル「認知神経科学における証拠の認識論」より結論

William Bechtel"The Epistemology of Evidence in Cognitive Neuroscience"(PDF)http://mechanism.ucsd.edu/~bill/epist.evidence.bechtel.july2004.pdf 注:翻訳文の()内は訳者による挿入です 結論 科学における証拠はたいてい論争の焦点になる。他の科…

心理学の概念的混乱は解消できるのか?

しかし、すべての苦闘を経た今、結局私は、心理学は心の哲学の制約を免れないと確証している、ウィトゲンシュタインは、そのちょっと気取った文章(「探求」)の一つで、心理学について次のように言う。

リンク

脳科学、大脳生理学とニューロサイエンスhttp://d.hatena.ne.jp/kaz_ataka/20080626/1214444340 私はこのリンク先のコメント欄で何か書いてますが、せっかくなので紹介します。私は基本的にレベルの高い記事しかリンクしたくありませんが、これはまさに分か…

殴り書きメモ

国内的事情:日本の政治的近代化の遅れの問題

脳科学的な還元主義をどうするか

From Reduction Back to Higher Levels(PDF)http://mechanism.ucsd.edu/~bill/research/cogsci-reductiontohigherlevles.pdf 認知神経科学が差し出す認知的働きを脳へとつなげる入場権は認知科学者すべてに歓迎されているわけではない、分子的働きの観点か…

J.J.ギブソンの刺激概念再考

J.J.ギブソンは論文集isbn:4326101539「心理学における刺激の概念」で刺激概念を考察している。そこで八つの論点を挙げている。以下の引用は全て翻訳から。 刺激は、個体を動機づけるのか、或いは、単なる反応のきっかけに過ぎないのか(p.278) 刺激は、反応…

かなり手入れ気味な批判的要約

http://www.miyadai.com/index.php?itemid=652より 日本のニート理解はご都合主義的で誤っている 日本ではニートが怠けなどの個人的要因に結び付けられているが、それは間違いである。もともとの英国のニート概念では、社会で自立できるための動機や資源がな…