翻訳

C.S.パース「記号とは何か」から冒頭部分

1、これは最も必要な質問である、なぜならすべての推論はある種の記号の解釈だからである。しかし、それはかなり難しい質問でもあり、深い省察を必要とする。 心の異なる3つの状態を認める必要がある。第一に、夢を見ている状態の人を想像しよう。彼が赤い…

言語進化:科学の最も難しい問題?(3)

Part 2の続き 7章で、ディーコンは言語進化の中心には複雑なシンボル的コミュニケーションのための人の能力があるとする。しかしながら、トマセロとは対照的に、ディーコンは世界中の言語を通して(つまり言語普遍に)見られる言語構造の多くのサブパターン…

言語進化:科学の最も難しい問題?(2)

Part 1の続き 3章でハーフォードは、人は言語を獲得して独特の心的能力を進化させるとするピンカーに賛同しているが、言語進化の説明における文化的伝達(学習)の役割には反対している。ハーフォードは、言語進化は生物学的前適応と世代を介した言語学的適…

言語進化:科学の最も難しい問題?(1)

原文:Language Evolution:The Hardest Problem in Science?,Christiansen and Kirby,2003(PDF) 訳注:著作の内容を紹介した第1章から、全17章中のうちの9章までの説明の抜粋、ただし所々で訳の省略を含む 私たちを人間たらしめているのものは何か。私たち…

そこでただ突っ立ってないで、考えなさい(後篇)

(中篇)の続き 神経科学者が特に興味を持っていることは運動が抽象的思考にさえ演じている役割だ。 ゴールドバーグは腕の運動の言語理解への影響を調べた幾つかの研究を行なった。ゴールドバーグの仕事では、被験者にコンピュータ・スクリーン上の一連の単…

そこでただ突っ立ってないで、考えなさい(中篇)

(前篇)の続き 身体化された認知は思考についての考えの数世紀をひっくり返す。蒸気機関が目新しい機械であった時代に生きていたデカルトは、体(つまり頭)の中を生きた液体が動いているポンプであるかのように脳を見ており、どの時代でも人の認知システム…

そこでただ突っ立ってないで、考えなさい(前篇)

原文:"Don't just stand there, think"The Boston Globe,January 13, 2008 最近の研究によって、私たちは脳だけで考えているのではなくて体でも考えてると分かってきた。 あなたが、紛らわしい文書を読んでいたり、クロスワードパズルを解いたり、鍵のあり…

辞書の項目「プラグマティズム(pragmatism)」

…(2)理解の明白さを得るために次のような格率を適用することによって形而上学は大いに明らかにされる、という意見。「おそらく実際のふるまいを持っているはずの何かしらの効果を考慮すると、私たちは自分の概念作用の対象がその効果を持っていると思う。…

E.八ッチンス他「空間、身振り、話し言葉から意味を構築する」より抜粋

序文 仕事場での対面コミュニケーションはよく主に話し言葉から成立してると思われる。話し言葉は明らかに表象の作成にとってとても重要な媒体であるが、複雑な仕事場面では様々なそうした媒体のうちのひとつである。身振りと話し手と聞き手がいる空間はたい…

J.J.ギブソン「私たちは何によって見るのか」

常識では人はその目によって見るとされる。心理学では、違う、人はその脳によってのみ見るのだと言う。運動論者は、違う、筋肉が行動を起こしたときに(極端に言えば「その筋肉によって」)だけ人は見るのだと。これらの定式化のすべてには間違いはないのだ…

G.H.ミード「精神・自己・社会 第10章 思考、コミュニケーション、意味のあるシンボル」より抜粋

私たちは次のように主張してきた、別の人の反応としての聞こえることや見えることが同じ反応を起こす刺激そのものであるという意味での特別な模倣の能力はないのであり、むしろもし別の人の行動と同じ行動がある個人において現在すでにあるならば、模倣を可…

W・ジェイムズ「心理学の原理 第12章 概念作用」より抜粋

同じであるという感覚 第8章で、物へのそのままの知見と物についての知識との2種の物の知識の間には違いがあることを描いた。このような2つの知識の可能性は基本的な精神的特徴に依存しており、その特徴は「心の意味における恒常性の原理」と題され、それは…