2006-01-01から1年間の記事一覧
いくら我々が自由だといっても、それは物理法則が許す範囲での自由に過ぎない。私には移動の自由があるが、今から一秒後に月に移動する自由は宇宙が禁じている--少なくとも、物理はそう言っている。どうあがこうが、我々は宇宙という監獄の中の囚人なのだ。 …
たまたま気が向いて、永井均「ウィトゲンシュタイン入門」を再読していたら、突然に「論理哲学論考」ってこう理解すればいいんじゃないかと思うようになった*1。正直言って「哲学探求」の方が個人的には好みで、ウィトゲンシュタインは前期が分からなければ…
サールの心の哲学の本を読んでたら、意識の哲学で有名なチャーマーズは隠れ汎心論者だと言っているのを見て、そうなのかなぁと図書館で「意識する心」を覗いてみた。確かに自分の自然主義二元論は汎心論と混同しやすいと一所懸命に違いを説明していた部分が…
ハイデッガーとシュペングラー http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20061218#p1 該当の本を読んでないのに余計なお世話かもしれませんが、ここで言われていることはハイデガーの存在と存在者の対立を考えるとおかしい。そもそも「存在の歴史」が(同時に…
UTCPワークショップ「身体の思考・感覚の論理」http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/tbls.html 身体や環境が認知科学に導入され始めたのは第二派の始まった1980年代以降だ。どうも日本の文系の学者は分析哲学関連はよくフォローするけれど、本来の認知科学はあまり…
がんばってCSSをいじって三段カラムにしてみました。ここまでするのにはかなり苦労したのですが、そんなことに関わりなくうまく表示されるかはやっぱり分からない。おかしいと気づいたらコメントに書いてくれると助かります。自信はさっぱりないので、ダメだ…
本能はどこまで本能か―ヒトと動物の行動の起源作者: マーク・S.ブランバーグ,Mark S. Blumberg,塩原通緒出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2006/11メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 49回この商品を含むブログ (22件) を見るブランバーグ「本能はどこまで…
ジャッケンドフは音韻構造と統語構造と意味構造とを同列に並べているが、論理的に考えると変な感じがする。池上嘉彦が著書isbn:4140910666うに、音韻レベルと統語レベルとテキストレベル(語用レベル?)とに分ける方が合理的だし、階層的にそれぞれの生成性…
この本の大半を占めるのは意識の現象学を素材にしたミステリー仕立ての小説なのだが、小説としての出来はそんなに悪くないとはいえ途中でちょっと読むのに飽きたので、第二部の哲学的解説編を先に読んでしまった。私は認知科学も哲学もどちらもそれなりに分…
私自身は社会問題をネタ化するつもりはないので、評論はあまり書く気がしない(履修問題とか自殺予告とか茶番にしか思えない、なんで今さら問題に?*1)。しかし、認知科学の話にも飽きてきている(記事のストックはまだあるが)。かといって、哲学の話には…
A Unified Psychology? http://scienceblogs.com/mixingmemory/2006/11/a_unified_psychology.php(英語のブログです) 日本では認知革命の意義が理解されないとずっと不満に思ってきたが(認知科学は欧米じゃ既に一般的なのに…)、アメリカでも似た事情はある…
宮台ブログにトラックバックした後に当該記事の多少の修正が行なわれたが、それによってこちらの記事を訂正する必要はなさそうだ。もし存在者-存在の区別が分かりにくいなら、意識-無意識の区別で考えてもらっても構わない(この用語は精神分析色が気になる…
宮台ブログの記事(http://www.miyadai.com/index.php?itemid=430)に関連して、使われている概念を整理をしてみました。 何が人間的かは結局は合意手続き(正統性)の問題だが、何が人間かは全ての前提たる自明性(正当性)の問題だと。 複雑な社会における正…
コネクショニズム・アプローチが成功した領域は知覚と運動の比較的低次のレベルであり、思考と言語の領域や知覚と運動の高次のレベルではあまりうまくいっていない。その点ではピンカーのコネクショニズム批判は正しい。 認知心理学には、データ駆動処理(ボ…
宮台ブログにアップされた『制服少女たちの選択』文庫増補版あとがきを読んで、大学の授業で教育社会学の文献として紹介された懐かしい本とか、オウム事件時に高校生だった私は感情移入バリバリとか、そういう言う話は置いとくにしても、ピアジェとブルデュ…
Litt, A., Eliasmith, C., Kroon, F. W., Weinstein, S., & Thagard, P. (forthcoming). Is the brain a quantum computer? Cognitive Science.(PDF) http://cogsci.uwaterloo.ca/Articles/quantum.pdf(ポール・サガードのHP http://cogsci.uwaterloo.ca/B…
エドワード・リードもトマセロもヴァレラも、そろいもそろって著作で参照しているのはS.J.グールドの方であり、ピンカーと違ってドーキンスの方ではない。この違いが、私が進化心理学と生態学的アプローチを分けて考える根拠の一つにもなる。ここで誤解する…
「誘惑される意志」ジョージ・エインズリーASIN:4757160119、訳が悪くて読みづらかったダマシオの本を読むと何となく理解できる気がしてくる。人は感情と言う基盤の上で意識を成り立たせている。感情なしの意識はありえない。ここで、近視眼な判断をする双曲…
赤を見る 感覚の進化と意識の存在理由 ニコラス・ハンフリー著/柴田裕之訳 「赤は魂を直接揺さぶる力だ」 赤を見る体験から、視覚・意識のクオリアヘ 正面のスクリーンを真紅の色で照らす。この「赤を見ている」私やあなたの脳で、いったい何が起きているの…
AI 事典 第2版 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4320120639/ 私はよほど気が向かないとアマゾンのレビューなど書く気になどなれないが(新刊紹介は他の人がやってくれ)、これはぜひ紹介したいと思うようになった(気まぐれ〜)。こんな紹介、ネッ…
今年は10周年!書物復権2006:復刊決定一覧 http://www.kinokuniya.co.jp/01f/fukken/fukkanlist2006.html 「哲学・思想・言語・宗教」の項を見てください。エーデルマン復刊です、おぉー(今ごろ気づいた)。お世辞にも訳がいいとは言いませんが、唯一の翻…
「ビルディング・ブロック・アプローチ」は、意識野全体を独立した意識の構成単位から成ると考え、特定の意識体験に関するNCCを見つけようとします。ただ、このアプローチにはちょっとやっかいな性質(問題点)があるそうです。それは、無意識的な主体が知覚…
「ノーベル賞科学者のアタマの中―物質・生命・意識研究まで」ASIN:480671187X*1を読むと、意識研究の系譜と認知科学の系譜は分けて考えた方がいいなと思う。意識研究はシュレジンガーあたりからクリックやペンローズなどを経る伝統があり、自然科学系のノー…
NHKスペシャル|「赤ちゃん 成長の不思議な道のり」 http://www.nhk.or.jp/special/onair/061022.html 残念なことに冒頭15分ほど見逃してしまったが、それでもとても面白く見れた。例えば、赤ん坊がテレビ画面で外国語に触れるか対面で外国語に触れるかで…
標準理論(チョムスキー1965) 句構造規則 語彙 ↓ ↓ 深層構造 ↓ 変形要素 ↓ 表層構造 ↓ 音韻化
生成文法の入門書 http://www.amazon.co.jp/gp/richpub/listmania/fullview/R29X5RM1874SCN/ref=cm_lm_detail_ctr_full_2/249-6073413-7246757 「認知言語学研究の必携書」 http://www.amazon.co.jp/gp/richpub/listmania/fullview/WMRVAY9Q1RGX/ref=cm_lm_d…
正直なところ、認知科学(の盛期)がすでに終わったものだとしてもそんなことはどうでもいいことだ(それを言ったらフランス現代思想はとっくに終わってる)*1。私がむかつくのは、認知科学の成果がろくに考慮されずに議論がなされていることだ。未だに認知…
放送大学 授業科目案内 認知心理学概論('06)シラバス http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/kyouyou/ippan_jinbun/s_1117416.html 機会があって一回分をちらっと見たのですが結構よかったです(亡き波多野先生はこんなところにも出てた!)。私はこれからも見…
言語ゲームは後期ウィトゲンシュタインの著作「哲学探究」で提出された用語である。はっきり言ってしまうと、言語ゲームという用語は多くの人に使われているが、当のウィトゲンシュタイン自身がきちんと定義してない上に、この用語を多様な文脈で用いている…
最近、ある人材派遣会社のテレビCMを見てショックを受けてしまった。電車で帰宅するOLが仕事上の悩みに一人で鬱々としている様子をアニメで描いたCMだ*1。これが日本のサブカルチャーとしてのビジネス・ブームの行き着く先なのだ、と。 1990年代の終わ…