2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

生態学的妥当性を軽く復習する

「理性の起源: 賢すぎる、愚かすぎる、それが人間だ (河出ブックス 101)」は、現在の日本での認知科学への理解の低さを考えるとよく出来た本である*1。その中に「生態学的」の意味は「実験室の外で」あるとしているが、この用語の用法のオリジナルとなる文献…

方法論的自然主義について個人的なアイデアをつぶやく

前回の記事で、前々から気にかかっていた近年の方法論的自然主義について書けたのはよかったが、固めの内容ばかり抑えたのでもともと持っていたアイデアの殆どを使えなかった上に文章そのものが固くなってしまった。せいぜい方法論的自然主義というと実験哲…

近年の哲学での方法論的自然主義の隆盛は明らかなのに日本ではあまり知られてないよねぇ

自然主義とは何か?その二類型 自然主義について詳しくは哲学者パピノーによる「SEPのNaturalismの項目(英語)」がお勧めなんので是非参照してもらいたい。論者によっては用法がかなり異なるので定義するのは難しいが、主要な用法としては存在論的自然主義と…

既に今年の日本のミステリーのベストかも、太田愛「天上の葦」

最近は日本のミステリーを読むことが多く、特に21世紀に入ってからの日本のミステリーは海外ミステリーと比較しても日本の他ジャンルと比較しても、そのレベルの高さに驚かされている。そのうち、21世紀の日本のミステリーのお気に入りリストでも作ろう…

いろいろ愚痴を言いながらも近年見られた新しい進歩史観だけは指摘しておく

前回の記事でも取り上げた「いま世界の哲学者が考えていること」は、近年の日本の出版状況を考えれば良作の部類には入るのだろうが、やはり不満は多い。前回の記事の注でも指摘したが本来の哲学の話は最初の方にしかない。その哲学の話に関しても、自然主義…