2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

竹島博之「カール・シュミットの政治」

「カール・シュミットの政治―「近代」への反逆」 偏見を持たれがちなシュミットの政治思想をバランス良く概観した良質な研究書 ナチスの御用学者と非難されがちなシュミットの政治思想を元々の歴史的文脈から読み解いた、解説書としても有用なバランスのとれ…

フリートウッド「ハイエクのポリティカル・エコノミー」のレビューと長々とした批判

「ハイエクのポリティカル・エコノミー―秩序の社会経済学」 前半の前期ハイエクへの哲学的な検討は今一だが、後半での後期ハイエクの知識論は秀逸 批判的実在論というメタ理論的な立場からハイエクの社会経済学を論じた著作。著者も言うように経済思想史の著…

酒井智浩「トートロジーの意味を構築する」のレビューとおまけ

「トートロジーの意味を構築する ―「意味」のない日常言語の意味論」 著者の言語学界への恨み節まで付き合わなければ、トートロジー文の言語学的分析として有用 これまでのトートロジ文に関する言語学的分析を批判的に検討し、その結論*1に伴って言語学の持…

金子洋之「ダメットにたどりつくまで」の簡潔なレビューとちょっとした批判

「ダメットにたどりつくまで (双書エニグマ)」 数学における反実在論の解説としては良質な、中級以上向けのダメット哲学への入門書 日本を代表するダメット研究者による、日本語で読めるおそらく唯一のダメット哲学の解説書。ただし、あとがきにもあるように…

木前利秋「メタ構想力」のレビューとその注釈

「メタ構想力―ヴィーコ・マルクス・アーレント (ポイエーシス叢書)」 専門書としても一般書としても一長一短な、よくがんばりました賞の人文書 私の個人的な興味とたまたま合っていた内容だったので試しに読んでみたが、褒めるほどでもなく貶すほどでもなく…