2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「Neuroscience Needs Behavior:Correcting a Reductionist Bias」を読む

最近は気が向いて、ネットに上がっている認知科学関連の論文を読むことが多くなった。その中で、たまたまある学者が関わっていた論文を読んだら面白かった。それは「Neuroscience Needs Behavior:Correcting a Reductionist Bias」(pdf)だ。基本的に神経科学…

心の計算理論におけるマーの三つのレベルについて少しだけ

認知の計算モデルについて調べていていたら、日本のサイトでとてもよいリンク集サイトを見つけた。それは「私のブックマーク計算論的認知科学 第1版」であり、基本的にお勧めなのだが、実は最初にこれに目を通した時になんとなく違和感があった。それがはっ…

解釈主義は機能主義に反しているのか?

具体的な書名はあえて挙げないがある日本の学者の書いた本の中で、解釈主義は行動主義なのであって機能主義には反しているという主旨の記述を見たことがある。残念ながらこれは完全なる間違いである。おそらくその学者は代表的な解釈主義者であるデネットが…

フォーダーとピシリンの共著「Minds without Meanings」(出版済み)の草稿を読む

ネットで調べ物をしていてある論文を読んでいたら、数年前にフォーダーがピシリンとの共著「Minds without Meanings」を出していたのを知ったのでさらに調べてみたら、その更に数年前に書かれたその本の草稿が見つかったので大雑把に目を通してみた。第二章…

認知の計算モデルは本当に流行っているのか?

少し前にネットで調べ物をしていたら、新しい認知科学のハンドブックが出たと分かって喜んで内容を調べてみた。こちらのオックスフォード認知科学ハンドブックの紹介記事(PDF)を見てもらえば分かるが、古典的な従来の研究テーマに一通り触れられているのは当…

法学者サンスティーンが参照する科学的心理学の成果を確認する

法学者サンスティーンは科学的心理学の成果に基づいた議論で著名な学者であるが、欧米での評価の割には日本ではそこまで知られていない学者でもある。 比較的最近の話題だと行動経済学者セイラーとの共著「ナッジ」(邦題「実践 行動経済学」)が有名があるが…

身体化論について私感

「エナクティヴ・アプローチにおける現象学の役割は何か」は、ヴァレラらの提唱したエナクティヴ・アプローチをリサーチ・プログラム(ラカトシュ)として理解しようとした素晴らしい論文でお勧めです。詳しい内容は論文を読んでもらうとして、後は身体化論に…