認知の計算モデルは本当に流行っているのか?

少し前にネットで調べ物をしていたら、新しい認知科学のハンドブックが出たと分かって喜んで内容を調べてみた。こちらのオックスフォード認知科学ハンドブックの紹介記事(PDF)を見てもらえば分かるが、古典的な従来の研究テーマに一通り触れられているのは当然ながら、それとは異なる特色があるのが目次を見ると分かる。それは認知の計算モデルとビッグデータ研究にページが費やされていることである。このハンドブックでは主に言語研究についてではあるけれどビッグデータを用いた研究にも章が割かれている。これは確かに新しい傾向としては触れるに相応しい研究傾向ではある。それに対して、認知の計算モデルにまるまる何章も割かれていることには驚いてしまった。コネクショニズムぐらいなら別に驚かないが、ACT-Rの名前が出てきたことには懐かしささえ感じてしまった。認知の計算モデルについては、認知科学に興味を持った頃に多少勉強した覚えがあるが、その後特に研究が盛んになったという印象がなかったので、ハンドブックにかなりの紙数が割かれているのにびっくりした。
その後なんとなくサイトを巡回して気になった記述があった。「The Importance of Falsification in Computational Cognitive Modeling」の要約に「In the past decade the field of cognitive sciences has seen an exponential growth in the number of computational modeling studies」とあって、えっ!計算モデルって流行ってるの?と驚いてしまった。それで計算モデルについてネットでもっと調べてもみたが、本当に計算モデルが流行っているのかは確信が持てなかった。しかし、調べ物をしている内に思い出したのだが、何年か前にベイジアンモデルが流行っているを知って勉強しようとして途中で挫折した覚えがあることを思い出した。もちろん挫折したのでブログには記事にしていないが。そう考えると、ベイジアンの流行りってならまだ分かるけど、ACT-R(元は結構古い)を含む計算モデルの流行りって言われてもいまいちピンとこない。