日本の心理学についていろいろ
日曜社会学>出不ろぐ de√Blog の沼上『行為の経営学』への感想(http://d.hatena.ne.jp/contractio/20051101)を読んだ。実のところ、心理学も状況は変わらなかったりする。
【法則定立を目指す-変数システム】v.s【法則定立を目指さない-行為システム】という対立は心理学における「量的研究」vs「質的研究」にそっくりだ。『心理学が「質的」を標榜することで見られる夢はなにか 』(http://www.utp.or.jp/todai-club/2005/09/25/iyoooaaoeuoeeceieiiee/)を見れば分かるが、何でもかんでも数量化する日本の主流の心理学に反抗して、こういう現場研究とか語り研究とかが出て来はする。でもねぇ、私もそういう研究は読んだ事あるけど、たいていあんまり面白くない(amazonにも昔レビューを書いたことあるが)。理由は簡単だ、日本の心理学者は理論を理解していなさすぎる。結局は、生きた人間を研究しているんだ、と言うロマン主義を満足させているに過ぎない。何のために理論があるかを分かっているのかね。佐藤郁哉でも読んでお勉強してほしい、とか思ったりもする(彼は心理学部の出身だったりする)。*1
ところで、評論家の宮崎哲弥が新書の書評で行動分析の本を褒めていた。私が大学にいた1990年代後半でさえ心理学の授業は行動主義真っ盛りで嫌気がさしていた。私の認知心理学の知識はほぼ大学図書館での読書の知識だったりする。一応認知系の有名な研究者がいるところだったけど、認知心理学のまともな授業を受けた覚えはない。期待して行った授業もあったが期待はずれ。結局、一から自分で勉強しなおした。その話は別にするとして、彼が行動主義の本を褒めた理由は何となく分かった。ヒントはこれだ(ポリティカル・サイエンス・クラシックス http://www.keisoshobo.co.jp/series.htm)。そういえば彼の得意分野は政治学だったはず。そうか、アメリカの政治学って行動科学の流れを継承してたんだ。でも、行動主義ってどう考えても学問としては終わってる(完成してる)と思うんだけど。
*1:というか、「変数システムの分析によって導かれるマクロ変数に対して、行為者の意図の観点を読み込んだ解釈を施す」というのは、そのままでは数量的研究の結果をそれっぽく解釈するってだけじゃないのか。そんなのなら私が卒論でやった、と言うか誰でもできる。問題はどうやって解釈してモデルを作るかなのに。