トラックバックありがとう記念、動物認知研究は面白いよね

トラックバックありがとうございます(一応リンクもしときますhttp://blog.goo.ne.jp/shax2081/e/ca61d124a62e58a7055141c704e8abc1)。残念ながらまだトマセロの翻訳は読んでません。そのうち読みたいとは思っているので、こういう紹介は役に立ちます。一応トマセロのホームページ(http://email.eva.mpg.de/~tomas/index.html。久しぶりに行ったら、いつの間にかダウンロードできる論文が増えてる!)から以前ダウンロードした論文はあるんですけど、未だに放ったままになっています(私だって英語を読むのは面倒)。ちなみに、トラックバックされた記事にある通り、やっぱり進化心理学と比較心理学(または比較認知科学)は違うような気がする。進化心理学ってけっこう思弁的ですよね。私は実証的な比較心理学の方がやっぱり好きだな〜。
おまけで最近読んだ本の紹介。たまたま近くの図書館に入っていたので読んでみました。ジュリアン・ポール・キーナン他「うぬぼれる脳」isbn:4140910542*1です。これはお薦めです。有名なチンパンジーを用いた鏡実験の話です(鏡を見て自分の額に描かれた印に気づくかなって実験)。私もいくつかの本でこの実験は読んでいたが、改めてきっちりと紹介されると面白い。つい「認知科学年表(増補版):英語原典版つき」ギャロップの文献を付け加えてしまった(年表作りの参考にしたミレニアム・プロジェクトは動物研究が弱い)。この本は前半がこうした鏡実験の紹介ばっかりで、後半は脳研究中心の話だ。例のネイチャーに載った実験、和田テスト*2を用いた実験はその実験計画とその結果の鮮やかさにびっくり。こういう見事な実験が生涯に一つでも出来れば研究者冥利に尽きるんでしょうね〜(もちろん私には分かりえないが)。こんなに見事に左右の脳半球の違いが分かるのはすごい(実験内容は読んでくれ)。*3
あー、それからトラックバックしてもらった記事で言及してるマキャベリ的知性についてはこちらでどうぞ→リチャードバーン「考えるサル―知能の進化論」ISBN:4272420097。読みやすいのでお薦めです。

*1:何だろね、この邦訳の題名。日本でよく見る「〜する脳」とか「脳を〜する」とかって言い方はどうも気に入らない。

*2:脳の研究法については近日のエントリーで紹介予定。ただいま推敲中

*3:しかし、著者本人も注意しているように左右の脳半球の違いがあまり強調されるのはやはりまずい気もする。未だに「右脳人間がうんぬん…」みたいな怪しい話はよく目にしますしね。まるまる片方の脳半球がダメになったって普通の人と同様の高い知性を持つことは出来るんですけど(たしか症例あるんですよ)。右脳左脳や男脳女脳に関する極端な話は多少眉につばをつけて読みましょう(バロン・コーエンみたいなマトモな研究もあることはあるが)。