放送大学の最新講義の紹介

私のテレビは地上波しか映らないが、最近はどのテレビ番組もつまらないと感じることが多いので、放送大学にチャンネルを回すことがある(といっても夜しか見ないが)。そこで見た最新講義をちょっと面白いと思ったので紹介しておきます(私自身はこれからも見れるかは分からないが)。
教授・学習過程論('06)−学習科学の展開− シラバス http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/daigakuin/kyoiku/s_8940177.html
おいおい年始めに亡くなったばかりの波多野誼余夫が出てるぞ。この講義は最新だから去年あたりに撮ったのだろうか。元気な姿を見てると、もう亡くなった人であることが信じられない。あらためて冥福をお祈り申し上げます。今回は生成文応で有名な大津先生が出演した三回目の「言語獲得の諸相」を見た。シラバスにあるピンカーやトマセロの話はなかったけど、言語の進化論的発生の話とかがあって面白かった。進化論は証拠や資料がまだ少ないから確実なことが言えなくて大変なようだ。それにしても、波多野誼余夫先生は本当に鋭い人だったのだな。
人間情報科学とeラーニング('06) シラバス http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/daigakuin/kyoiku/s_8940207.html
21世紀に入ってからは、認知科学には教育に代表されるような応用が注目されているようだ。eラーニングの話はこの前にこのブログでもしましたね。このシラバスにも六回目に「行動主義・認知主義・構成主義学習心理学に基づいたIDモデルの実際について紹介する」とあります。で、ある一回分を見た感じではやっぱり文化心理学に近い気がする。三回目に「生態学的学習環境モデル」とか「社会的構成主義とネットワーク利用による学習」とあります。「生態学的学習環境モデル」で使われる同心円図はマイケル・コールを思わせる。学校を他の文化や生活の領域への媒介にしようと言う話。「社会的構成主義」と「社会構築主義」との違いはよく分からないけど、似たようなものだと思う(前者に関しては以前、関連した社会心理学の本を読んだことあるが、似てると思う)。
でもなー、eラーニングってどうなんだろ。これって生徒や学生の側に積極性や動機や読み書き能力とかがないと成立させるのが難しいと思う。やる気のないやつが相手だとeラーニングは無力すぎると思う(それにこそ階級差が出るかも)。でも、大衆教育社会にはeラーニングは欠かせないものになるかな(先生もいちいち各自を相手してると切りがない)。でも、eラーニングが本当に有効なのは高等教育や専門教育ぐらいだろう。ちなみに、状況論が学校教育に当てはめづらいのは、生徒には教育の目的が見えないからだ。しかし、教師集団に限定すれば状況論を適用するのは十分に可能だ。教師集団には目的がありうるし(子供の教育、試験対策でもいい)、教師集団で生徒の情報を共有してアドバイスを与え合ったり組織を組み替えなおしたりも可能だ。そういく研究をしてる人っているのかな。