小熊英二による記事「近年の日本のナショナリズムはポピュリズムだ」

朝日新聞朝刊(06/5/11)の小熊英二による「近年の日本のナショナリズムポピュリズムに過ぎない」の記事に納得。近年の日本のナショナリスト天皇になど興味はなく、「サヨク」という仮想敵を作り上げて攻撃してるに過ぎないとの指摘はすごい。宮台さんの天皇論に効果がないのも当然だ。それもこれも90年代の不況時に中間共同体(企業や労組や商工会)が弱化したことによる不安が原因だと言う、なるほど!自民党は保守党じゃなかったじゃんとか(経済発展促進党だったと呼びたいな)、日本の新自由主義(ネオリベ)は70〜80年代の欧米から一周遅れの現われだとか(これは宮台さんも言ってたな)、70〜80年代の日本に台頭した日本人論はナショナリズムだったじゃんとか、新聞記事としてはとてもよくまとまっていて面白かった。
つくづく思うことは、日本の人たちは日本の歴史をさっぱり把握してないことだ(自分も偉そうに言えないが)。ここでいう日本の歴史とは事実の列挙のことではなく、どんな時代の雰囲気の中でどんなことが起こったのかという歴史の流れだ。だいたい未だに日本の人による納得できる戦後史などありやしない(ウォルフレンやダワーに頼るしかない、小熊英二は例外か)。なぜ日本で90年代の不況時に中間共同体が弱化したかも理解したいが、そんなこと調べてくれそうな人は日本にはいない。それにしても、日本での政治的な右とか左とかはお題目だってこともよく分かった。こういうのを構築主義って言うんじゃないの?ネットでもマスコミでも日本でのバカ論議の波にはもう疲れたんですけど。