クジラやイルカの進化

私はお世辞にもクジラやイルカについてくわしいとは言えないが、こんな記事(イルカやクジラの脳が大きくなったのは水温のため)を読んでしまうと、つい進化の過程をいろいろと勝手に想像してしまう。
クジラやイルカは系統的に分岐する前はまあまあ大きさの体と脳*1をしていた温血の水棲動物*2。しかし、あるとき地球的な水温の低下によって大きな淘汰圧に見舞われる。水中での熱損失を抑えるにはどうしたらいいのか。彼らが後世に遺伝子を残せる主な道はふたつ。体を大きくするか、脳を大きくするか(もちろん突然変異からの淘汰)。強い淘汰圧の中、体の大きくなった個体群と、脳が大きくなった個体群とが、水温範囲によって棲み分け始める。で、たぶん生息域が離れての生殖的隔離から新種への分岐が起きる。現生のクジラやイルカの誕生?
空想的なお話はここまでにしても、脳を大きくすることは本当に生存に有利だったのだろうか。たしか脳はエネルギー効率が悪いんじゃないのかな(グリア細胞ばかりだからそうでもないのか?)。体が大きくなった個体が有利なのは確かだとしても、脳はどうなんだろうなぁ。あと、脳の進化の話はおもしろかったけど、脳研究と行動研究とは一応別々に考えたほうがいいじゃないのかなぁ。行動レベルで賢いと観察されればそれだけでも十分であり、脳の大きさはそれとはまた別の話(もちろん行動研究が厳密なの当然の条件)。性急に脳と行動を関連づけるのはつつしみたい(ニュース記事でも行動レベルの話はいまいち説得力ない。イルカの賢さは進化の副産物かもしれないじゃんか!)。

*1:初めから体が大きかった可能性もあるが、それだと脳が大きくなる理由が説明できない。こんなことは古生物学の成果に頼ればいいのだろうが、あくまでお気楽で好き勝手な想像ってことで

*2:なぜそんな生物がいるのかって話はとりあえず置いとく