認知科学マニアならもっと早く思い出しとけよ

認知科学の有名な賞というとラメルハート賞やジャン・ニコ賞がある。ラメルハート賞が科学的な傾向の強い賞なのに対して、ジャン・ニコ賞は哲学的な傾向の強い賞である。最近になってやっと、今年のジャン・ニコ賞って誰?と思い出して調べてみた(→http://www.institutnicod.org/conf.htm)。今年のジャン・ニコ賞はキム・ステレルニー(Kim Sterelny)だった。どんな人か分からずに調べてみたら、どうももともとは生物学の哲学で有名な人のようだが、最近は心の哲学にも手を伸ばしているようだ。モジュール論的な正統派進化心理学に批判的で、社会的学習やニッチ構築に好意的な人のようだ。
そう思ってジャン・ニコ賞の歴代受賞者を見ると面白い傾向が見られる。2001年から2003年まではデネットやミリカンやジャッケンドフと進化心理学に好意的な人ばかりが賞をもらっていた。それが最近になると、2006年のトマセロや2008年のステレルニーと進化心理学に批判的な人たちが賞を取っている。めぼしい研究者を選んでいて勝手にそうなった可能性もあるけれど、面白い傾向であるとは思う。

  • 参考サイト

ダーウィン的モジュールか, 自動化されたスキルか(PDF)
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/56972/1/tanaka.pdf