脳へのダイナミック・アプローチってどうなの?

RIKEN BSI NEWS No. 24 May 2004 脳磁図:非侵襲的手法で探る、ヒトの脳機能 http://www.brain.riken.go.jp/bsi-news/bsinews24/no24/special.html
テレビなどのマスコミで紹介される脳科学にうんざりしてるときに、こういう日本でのマトモな研究を見るとほっとする。日本って優秀な研究者が結構いるはずかもしれないがそういうのはあまり目立たない。まぁ研究に没頭しているのだろうしその方が真っ当だとは思うが、日本のマスコミはそういうマトモな研究は紹介できないからどうしようもない。
心理機能と脳部位との対応を見るだけに飽き飽きして、こういう最新の真っ当な脳研究を見ると面白いと思う。そりゃそうだ、ダイナミック・アプローチ(時間的変化)しかないよね。とはいえ、コネクショニズム*1複雑系の応用*2は限界じゃないのか*3。やっぱり可能性としては最初にあげた研究のような脳の非侵襲的方法による研究が一番じゃないのか、非侵襲的方法の解像度も今ではかなり高いはずだし。あとはうまい結果の処理法が現われないとしょうがない。いいかげん単純な情報処理モデルではつまらないんじゃないのかな(説明できないことも結構あるし)。やっぱり新しい理論は必要だよね。*4

*1:『高次認知のコネクショニストモデル』の編集にあたって http://www.kyoritsu-pub.co.jp/shinkan/jobun/jobun09442-5.pdf(PDFです)これは2003年3月「認知科学」掲載をもとに2005年に出版の著作だが、参考文献を見ると英語文献のほとんどが20世紀内の出版(2000年も一応は20世紀)。コネクショニズムもいろいろ制約をつけたりしていろいろ試されたが、私にはいいかげんどうなのかな?と思えた。一時はコネクショニズム万能主義もあったけど、今となっては限界が分かったんじゃないのか?私も最新まで追ってないのでよく分からんが。

*2:認知発達理論分科会 第8回例会報告 http://home.hiroshima-u.ac.jp/shinsugi/t_cd/8/8.htmlも参照。ここでの高橋義信の感想はすごいな。ちなみに、翻訳ならエルマン・ネットの「認知発達と生得性」isbn:4320029011あり。ネット上の情報では『認知と行為の発達理論:ダイナミック・システムからのアプローチ』(Esther Thelen&Linda B. Smith, 1994, A Dynamic Systems Approach to Development of Cognition and Action, MIT press,�小島康次・高橋義信・杉村伸一郎との共訳),ブレーン出版,印刷中.もあった。

*3:スモールネットワークの脳への適用もあるが、私も入門書は読んだけどまだあまり大したことは出来ていないようだ。もちろん先のことは分からんが。とはいえ、脳の同期現象の解明やモデル化は現在の認知科学の目指すべき輝かしい星ではあるが

*4:後から思ったが、日本の人にはコネクショニズムとか複雑系とか、最近だとスモールネットワークとか、異様に好きな人が多いよね。ただし理解はトンデモ同然なのも多いが。数学の勉強もしましょう