オンライン・テキストでの一からの勉強はかなりきついかと
初心者のための記号論(http://www.wind.sannet.ne.jp/masa-t/index.html)ってブックマークがバカみたいにたくさんついてるけど、これって全く知識のないやつが読んで理解できるのか?記号論や構造主義を勉強済みの私から見てもちょっと内容が濃すぎると思う。まあ、ソシュール記号論とパース記号論の区別もろくにつかないような日本の学者が多いことを考えると、こういうオンライン・テキストがあるのも有意義かもしれない。
ソシュール記号論について知りたければ山形さんのこの解説でも十分じゃないの→http://cruel.org/other/rumors.html#item2006041701。レヴィ=ストロースの神話分析は恣意的だって部分を無視すれば、見事なソシュール記号論の要約になっている。ここにある図(AV神話の分析)で、横の関係が統語的(syntagm)で、縦の関係が範列的(paradigm)じゃないの(このあたりの訳語は一定しないな)。前者から物語の流れが分かり、後者から物語の要素が分かる、でいいんじゃない。ネット上でこれ以上を伝えるのは無理かと(あとは本で読め)。あとはロラン・バルトのよく使う共示義(Connotation)もあるけど、これって字義にない社会的な意味(イメージ)ってことだし。あとは具体的な分析を読まないと面白くない気も(バルトによる雑誌の黒人の表紙の分析例が「初心者のための記号論」に引用があることはあるが…)。これってバカが使うと、勝手なイメージの読み込みだけで記号論的分析ですってことになりかねないのだが。
ちなみに、個人的にはエーコの「記号論入門」isbn:4880592285。日本語で読める記号論の本で、パースについてマトモな言及があるのってこれしかないんじゃないのか。それにしても、マクロなソシュール記号論の分析とミクロなパース記号論の分析との区別ぐらいつけられるようにしよう!