前回の記事に追記を加えました

どうせなので転記してみました。

  • 追記(2007/07/24)

[評]『シマウマの縞 蝶の模様:エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源』 http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20070718/1184705246
『シマウマの縞蝶の模様』の新聞書評http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20070514bk06.htm
うぉぉ、生物学はこんなところまで来ていたのか。ホメオボックスぐらいなら辛うじて知っていたけれど、ここまで話が拡大していたとは知らなかった。遺伝子スイッチ説を使えば、岡ノ谷さんの説も十分に扱える。つまり、鳥の歌の文法の遺伝子がスイッチで蘇ったのだと…。まぁ、本当は形態レベルと違って行動レベルのことはまだよく分かっていないのだけれど、今までだって行動レベルにネオ・ダーウィズムを普通に当てはめていたのだから、別に推測するぐらいは許されるだろう。
そういえば、以前紹介した「ブランバーグ「本能はどこまで本能か」の記事」で紹介されていたメチル化だの表現型可塑性なども進化発生生物学の領内だったようだ。そういえば、進化発生生物学は英語でevolutionary developmental biologyと書く。developmentは発生や発達と訳されるし、発達研究への寄与も期待できるかもしれない。ただ、同じくdevelopmentでも発生環境と発達環境とではその環境の安定性があまりに違いすぎて同じ水準で扱えるかはまだあやしい気もする(直感的にも遺伝的可塑性と神経的可塑性が同じわけがない、関連は認めるにしてもだ)。
しかし、説明の幅が広がったことは喜ばしいことだ。これで堂々と(?)進化上での複数の遺伝子スイッチからの創発説も採れるようになるだろう。そして、(その中途半端な高次さは進化上で生じた証拠だとしても)既存の適応説からすると無駄に高次としか思えない、人間の高次機能もこれでうまく説明可能になるかもしれない。